田舎暮らしのメリット、デメリット
認知症に農作業が効果があるかもしれないという記事が、読売新聞(平成19年2月10日付け)に掲載されていた。
スウェーデンでの研究によると次のようなことがわかったという。
調査対象 75歳以上、776人を6年間にわたり追跡。
1)体を動かす
2)頭を使う
3)社会参加する
以上を日常的におこなっている高齢者が最も認知症になる率が低い。
このことに関連して、東京農大 松浦教授は「農を取り入れた生活は上記3つの要素を満たす」と指摘した。
いなかで農作業をすることは当然体を使うし、良い作物を育てるにはそれなりに頭も使う。また、地元の人に農作業を教わったり、作物を交換したりすることが社会参加をも促すということらしい。
さらに、野菜作りを始めて野菜に愛着がわき、以前より野菜を多く摂取するようになったという「食生活の改善」を田舎暮らしのメリットとしてあげる人も多い。
田舎暮らしではスローライフが必然的というか「文字どおり」の展開されてしまいます。
(「スローライフ」のスローは遅いという意味ではないらしいですけど。)
大抵の田舎は
買物 → 遠い
病院 → 遠い
学校 → 遠い
お隣 → 遠い
こんな感じです。
すべてに時間がかかります。
時間にルーズな土地柄の地域もあります。
おまけに、移住者から見れば理解不能な慣習がたくさんあるかもしれません。
さて、この事実を単に「時間がかかってしょうがない、不合理なことが多すぎる」と考えるなら、いなか暮しを始めてもスローライフを実感するのは難しいかもしれません。
生活の多くの部分で効率を考えてしまうタイプの人は、いなか暮らしが本当に自分に向いているのか移住前に見つめなおしましょう。
田舎暮らしの生活費は、都会から移り住むと安くなると思われているし、実際の調査でもそのような結果になるようです。
田舎は物価が安いかといえば一概には言えないようです。同じか、割高と考えた方がいいでしょう。
それなのになぜ生活費が減るかといえば、田舎生活ではお金の使いようがない暮らしぶりに、いや応なしに落ち着くからです。
田舎暮らしでは高価な衣服や装身具で身を飾っても、行くところがありません。衣服費は必然的に減少します。
飲み歩いたりする機会もほとんどなくなりますし、リタイヤ後ならお中元、お歳暮といった贈答の機会も減りますので交際費もダウンです。
野菜などの自給率が高まること、外食できるようなお店もほとんどないことから、食費も少なくてすみます。
自然に生活費も縮小というわけです。
生活費の中で都会生活の時より増加するのはガソリン代と、寒冷地なら暖房費ということになりますが、それらを加味しても生活費は減少傾向にあるようです。
もちろんこれは一般論です。田舎に住んだところで贅沢三昧しようと思えば出来るわけです。そうすれば出費は減りません。
田舎のほとんどは緑一杯の美しい自然に恵まれています。
お金には換算できない大きな価値といえます。
静かな環境も手に入れることが出来ます。
なにせ、お隣さんだって数百メートル離れているなんていうことも珍しくないのですから。
都会と比べて土地も安いので、敷地も余裕を持たせることが出来ますし、野菜、果物、花などの栽培も楽しめます。
まだまだ日本人としての良さ、人情が生きている地域も多いです。
いなかの、何ともいえないゆったりした空気感のようなものを味わったことが誰しもあるはずです。
これこそ田舎暮らしの最大のメリットではないでしょうか。
いなかでの近所づきあいの煩雑さをデメリットという人も確かにいます。
運動会からお祭り、冠婚葬祭と村人総出でおこなう行事の多い所がけっこうあるのです。
しかし、地域のさまざまな行事に参加したりすることによって自然に地元に溶け込んだり友人を得たりできますからあながち悪こととはいえません。
地域特有の行事や慣習も事前に調べて、納得の上で田舎暮らしを始めるなら逆にそれらを楽しめるかもしれません。
自分には理解しがたい慣習なども、長年続けられてきたからには何らかの意味があるものと尊重する姿勢は必要でしょう。
田舎では普通、近くに飲み屋がありません。
一番近くの飲み屋まで車で数十分というのはざらです。
さて、これはメリットでしょうかデメリットでしょうか?
どうしてもそういうところで飲みたいという向きには完全なデメリットとうつるようです。
帰りにタクシーの代行運転を頼むとホテルに泊まるより高くつくけど、奥さんにあらぬ疑いをかけられるよりはと必ず帰宅する、という涙ぐましい話も。
実際のところ田舎暮らしでは飲み屋に限らず、都会で楽しんでいたような娯楽施設は皆無に等しいです。
そして、そのことを田舎暮らしの「メリット」ととらえている人は多いです。
お金がかかりませんし、趣味やしなければならない事柄に集中できるからというわけです。
せっかく始めるいなか暮らしです。
都会暮らしのライフスタイルにこだわり続けるより、前向きにとらえましょう。
田舎暮らしのデメリットを一言でいえば「すべてに不便」ということになります。
・買い物出来る店まで遠い
・総合病院が近くにないことが多い
・学校が遠かったり進学時選べる選択肢が少ない
・職業が限定され、賃金も安い
などです。
これらが「自分にとって許容範囲に納まるか」という点が田舎暮らしを楽しめるかどうかの分岐点となります。
日本の都会では、すぐ近くにスーパーやコンビニがあり、高度医療を受けられる病院があり、文化、娯楽施設にも事欠きません。
多種多様な職業につく機会もあります。さらには、お金さえあれば電話一本、クリック一回で様々なサービスが受けられます。
実際にはこのようなことは世界中を見回せばむしろ特異なことなわけでが、長年そのようなライフスタイルに慣れ親しんできた人にとって、田舎暮らしは本当にテレビで見るほど牧歌的で「のどか」なのか、良く考える必要があります。
田舎に住むとあらためて都会のよさを再認識することもあるようです。
横浜に住んでいた時は、人の多い「都会」がキライだったけれど、
田舎で生活するようになると、「都会」が恋しくなる。
「都会の便利さ」、「人ごみの心地よさ」みたいなもの、
を感じるようになってきたのだ。
これは、僕にとって大きな発見だった。
家族を連れて横浜から山梨県にIターンして4年、「しょうきち」さんはこう語っています。
素直に都会恋しさを述べていますが、それが決して田舎暮らしを否定する材料にはなっておらず、むしろ「うれしい発見」的に捉えられていることに注目できますね。

